旅・たび・にっき

旅や乗り物関連のお出掛け話のブログです

飯田線とあさぎりの旅・2日目

出発して、早々に日付が変わった。高尾駅あたりまでは車窓をながめていたが、朝が早いので寝ることにした。格好などについては慣れたつもりだったが、やはりなかなか眠れない。眠ってもすぐに目が覚めてしまう。何回かそんなことを繰り返していると上諏訪の文字が目に入ったので、降りる準備をした。
3時39分、辰野駅に着くと、私を含めて5人の乗客が降りた。いったん改札を出て、駅で飯田線の始発を待つ。さすが山の中、非常に寒い。一緒に降りたカップルと男性ふたりも飯田線を待っているようだ。
1時間以上待って、ようやく憧れの飯田線に乗り込んだ。
こんなに早い時間だというのに、高校生らしき制服が目立つ。本数が少ないので、一本遅くすると自動的に遅刻となるようだ。6時前に日が昇ってきた。強い光でまだまだ夏だなぁと実感する。景色は思ったより単調で、途中何度か船をこいでしまった。

7時半を過ぎて、天竜峡駅に到着。ここで一度下車して、今回の目的のひとつである天竜峡へ向かう。すると、予想外に近く、駅から2、3分で着いてしまった。岩と岩の間を流れる天竜川、靄がかかったような感じでなんとも言えぬ美しさだ。次の列車まで時間があるが、ライン下りを体験するほどの時間はない。そこで、土産物などを物色し、絵はがきを買い、ポストに落とした。
再び、飯田線に乗り、豊橋駅へ向かう。東上駅など西村京太郎氏の『愛と死の飯田線』で見覚えのある駅を過ぎ、終点の豊橋駅に到着した。

ここでは、楽しみにしていた路面電車に乗る。道路の真ん中を時速20キロメートルくらいのスピードで、自動車と一緒にゴトゴト走る。わずか3区間だけだったが、実に気分のいい時間だった。市役所前電停で降り、道路中央のホームから片車線分だけ渡り、豊橋公園を目指す。
堀の跡を見たり、説明書きを読んだりして吉田城址に向かった。建物はあるが、中には入れないので、裏に回り、川辺に出た。目の前を豊川がゆったりと流れている。水辺に近づいてみると、小さなカニがたくさんいた。野生のカニを見るのなど、何年ぶりだろうか。しばらくその動きを見て、水に少し触れてから豊橋公園を後にした。
帰りは少し歩いて、体育館前電停から路面電車に乗った。ホームで待っている間、すぐ近くを自動車がビュンビュン通り過ぎていくので、かなり怖いものがあった。

豊橋駅に戻り、土産にオレンジカードを買って、上り列車に乗り込む。進行方向右側の席に陣取り外を見ていたが、浜名湖が見えない。よく考えたら、浜名湖があるのは左側。大マヌケだった。
乗り継ぎの関係で、浜松駅で下車。そろそろお腹もすいてきたので、せっかくの列車の旅をしているのだからということで、駅弁を買うことにした。特色のあるものがいいだろうと思い<浜名湖弁当>を買い、列車の中で食べようとホームに上がった。f:id:n_ayatomo14:20220315163512p:plain
そこには当然クロスシート車があると思いきや、オールロングシート車が停まっている。ロングシートで弁当とは、なんとも恥ずかしい。かといって食べないわけにもいかない。そこで、なるべく空いている車両を探し、角の席に腰を下ろして食べた。駅弁はなかなかおいしく、浜名湖産という魚を含め、ほとんどをたいらげた。なんとか周りの乗客が増える前に食べ終えることができた。車窓の景色を見ていると、沼津駅に着いた。

沼津では、海と富士山を見に行く。バス停をウロウロし、沼津港行きのバスを見つけて乗り込んだ。千本松公園で降り、住宅街を抜けて海辺に出た。目の前には太平洋(駿河湾)が広がっているが、肝心の富士山がどこにも見えない。なんということだ。またもや富士山と対面できないのか。実に無念だ。そのまま帰ろうかとも思ったが、気を取り直して堤防から浜辺に下りてみた。海に来たのなど何年ぶりだろうか。海水に触ってみる。ん〜、気持ちいい。
いつまでも海と戯れていて「あさぎり」に乗り遅れたら困るので、バス停に向かって歩き始めた。すると、来た道を戻ったつもりが、少し迷ってしまった。バスに乗り遅れては大変だと思い、足を速めた。しかし、無情にもバスは目の前を通過していってしまった。これは参った。次のバスを待つべきか。時間的なことを考えると、歩いた方が良さそうだ。急ぎ足で駅に戻る。
ようやく駅に着くと、「あさぎり」の発車時刻まで10分を切っている。とても土産などを買っている余裕はない。改札を抜け、ホームへ駆け上がる。と、すでに新型特急「あさぎり」は入線していた。洋服は汗でビチョビチョ。非常に気持ち悪い。
「あさぎり8号」は小田急車両で、シートは背もたれが高く、ゆったりしていて座り心地はとても良い。ただ、ビチョビチョの洋服のまま冷房のよく効いた車内に入ったので、寒いし気持ち悪い。
席は通路側だが、沼津駅を出ても窓側の席に誰も来ないので、窓側に移動した。列車は御殿場線を進む。日が落ちるまでのわずかな時間が、富士山を拝める最後のチャンスだ。沼津で大量に汗をかいて失った水分を車内販売のペプシコーラで補給しつつ、目は富士山の方向へ。わずかに稜線は見えるが、はっきりと全貌は見えない。辺りはどんどんと暗くなっていく。結局、今回の旅でもまともに富士山と対面することができなかった。富士山に嫌われているのだろうか。
御殿場駅を過ぎ、松田駅から小田急線に入る。この頃には日もとっぷり暮れ、窓の外は真っ暗だ。ニュースや天気予報が流れる車内の電光掲示などを見ていると、終点の新宿駅に到着した。ここで、旅と言える行程は終わりとなった。

列車を降りて、沼津駅では時間がなくて見られなかった先頭車両を見る。写真では見ていたが、なかなか斬新なデザインで気に入った。それからホームを移り、小田急線で代々木上原駅まで戻り、千代田線、東武線と乗り継いで帰ってきた。

いくつか期待外れはあったが、全体的に非常に実りの大きな旅であったと言える。